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ウラロジの日陰者

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  • 12/28/03:31

07.02.23:10

頭良さそう感を作る

面白さの基準ってのは個々人のものなんで、これもあくまで僕の個人的感想なんですけどね。
つまらなくは無い、でも面白いわけでもないという、絶妙な微妙さを保ち続けているドラマ、【軍師官兵衛】についてちょっと。面白く視聴してる方には申し訳ない。

このドラマ、けしてつまらなくないけれど、ずっと何かが足りないと。そう思っていたんですけど、その一つが、軍師ドラマなのに『頭良さそうな感じ』があんまりしないことなのではないかと。
ドラマの中の官兵衛を見て、お、こいつ頭いいじゃん、と観てるこっちが欺かれること。それが足りない気がするんです。

そもそも頭良い感じをどうやって作りだすかなのですけど、これはとても難しいことですよね。というのも、歴史に残ってる有名な作戦は、すでに僕達は知っているので、今更その年表どおりのことを口で言われても、ふーん…としかならない。
じゃあどうするかといえば、一番簡単なのは、周りを極限までアホにすること。ただこれをやったら、かなり安っぽいドラマに成り下がりそうですね。演出面ではどうも間抜けで現実的じゃ無い気がします。

そこでもう一つ思い当たる手が、軍略に人間味を持たせることだと思うわけです。
つまり、このドラマ内で描かれているこのキャラなら、こんな軍略を思いつきそうだという臨場感です。有名な作戦は年表を見ればわかってしまう。だったら、さもこのドラマのこのキャラが思いついたんですよといわんばかりの臨場感をキャラに持たせてやることが、一番大事なのではないかと。

こういう話をするとき、つい2007年の大河ドラマ【風林火山】を引き合いに出してしまうんですけど。
同じ軍師モノでありながら、【風林火山】と【軍師官兵衛】が決定的に違うのはここじゃないかと思います。
風林火山は山本勘助という軍師が主人公ですが、彼の軍略はそのキャラクターの立ち位置を踏まえているんですね。物語の前半で、勘助は諸国を放浪し、愛していた女性を身ごもった子供ごと殺されるというまさに心が死にそうになる経験をするわけですけど、だから彼の軍略は、人の情を逆手にとって欺くようなタイプのものが大多数を占めている。でも、時にはその情を捨てきれずに粗略が出てくるという、人となりを使った臨場感が機能している。キャラの個性を存分に生かしてさもこのキャラが思いついたように視聴者に思わせること。これが頭良さそう感なんだと思います。だから風林火山の場合、キャラクターがどういう奴かというところを認識させる過程は、かなり大げさに作ってあるように感じますね。それとこのドラマは、対極に居るライバルがさらに主人公を引き立てる機能を果たしているのも大きい。宇佐美定満がまさにそれで、一見穏やかに見えるけれど、時には勘助よりもよほど狡猾で人の情を冷酷に踏みにじるようなシーンが出てくる。こういう積み重ねで、キャラの頭のよさにホンモノっぽさが出てくるように思います。

じゃあ、軍師官兵衛の場合はどうだったかというと、その臨場感がいまひとつ無いように思われるんですね。当然最初っから切れ者であるという風に描かれるのですが、そこに臨場感はあまりない。軍師だから当然作戦を思いつくんですよという、軍師という記号だけを使った薄っぺらな頭良さそう感、これが最も安っぽい部分なんじゃないかと。
たとえば、これから有名な高松城の水攻めをするわけですが、彼にこんな大胆な作戦を思いつかせた経験って、あるいは個性ってなんなのでしょうか。これが曖昧だからこそ、作戦や行動にも必然性が欠けてきてしまいますね。描かれているキャラが行う必然性が無ければ、歴史ドラマではもはやそれは喋る年表以外の何者でもなくなってしまうんじゃないかと、そう思います。

面白いとつまらないの間の壁って言うのは、ほんとに微妙なさじ加減だとは思うのですけどね…。
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